英が財政緊縮

英の危機的財政

 欧州で財政リスクを抱えている国として、PIIGSが一般にあげられるのが普通だが、最近はSTUPIDという言葉も言われている、スペイン(S)、トルコ(T)、ポルトガル(P)、イタリア(I)、ドバイ(D)の5カ国である。
 イギリスというと経済の優等生のイメージが強いが、そうでもない。スペインに負けず劣らず、ひどい住宅バブルを抱えている。またイギリスは金融業が国の産業の中心だったが、RBS、HSBCバークレーズと、大手銀行がともに不良資産の消却が遅れており、満身創痍だ。頼みのBPも油井事故の件で、オバマに脅されて200億ドルの補償用基金を作らされた。財政赤字のGDP比率が10.1%という体たらくである。対外的にも大幅な債務超過の状態にあり、先般の総選挙でも、財政再建が争点になっていた。

英国の財政緊縮策

 英国の財政緊縮先は次の通り。
子ども手当の3年間停止
公務員の賃上げの2年間ストップ
毎年300億ポンド(約4兆円)の歳出を削減。
付加価値税を17.5%から、20%に増額

他の欧州諸国でも財政削減

 他の欧州諸国でも公務員削減が大きな柱となっている。フランス、ポルトガルは退職者2人につき1人しか雇わないことにしている。しかしスペインは退職者10人につき1人しか雇わない。しかし労組の抵抗も激しいだろうし、どの程度削減が進むかはわからない。削減が進めば景気も落ちるだろうし、削減をしなければ欧州から援助を受けられなくなる。