中国ホンダ スト納まらず
中国ホンダスト納まらず
広東省中山(CNN)の報道によると、広東省にあるホンダ子会社ホンダロックでは、従業員がスト終結後も意図的に作業を遅らせていると明らかにした。
同工場(従業員約1500人)では従業員が賃上げを求めてストライキに突入したが、ホンダ側が月額200元の賃上げを提示して12日に労使紛争は解決したはずだった。 しかし同社広報によると、14日現在、工場従業員の90%が工場内でペースを落としているという。
一方、同工場の従業員はCNNのインタビューに答えて、基本給の900元に残業代が上乗せされて毎月の手取りは約1200元になるが、ホンダの別の部品製造工場では500ドルの賃上げがあったとして、これと同程度の1600元に賃上げするよう、求めている。同工場では先週末、交渉がうまくいかなかった場合に備えて代替労働力確保のための採用活動を行っていたが役には立っていないようだ。従業員の1人は給料の低さに不満を漏らした。別の従業員は「これが原因で解雇されても怖くはない。ここには高い賃金を払ってくれる工場がたくさんある」と強気の姿勢だった。という。
トヨタでもスト発生
天津市内のトヨタ系部品メーカー豊田合成の中国子会社天津豊田合成でも、5月17日からストライキが発生。そのためトヨタ自動車の天津市内の完成車組立工場が18日から全面的に操業停止に追い込まれた。トヨタはカンバン方式と呼ばれる、在庫を極力持たない仕組みを考えだしたことで強固な財務体質が築かれ、現在の隆盛を見るに至った。しかし、そのためいざ部品の調達が止まると、組立工程もすぐにストップしてしまう。トヨタの天津工場はトヨタの中国生産能力の半分を占める、最重要拠点だ。トヨタも中国ではカンバン方式を緩めた方がいいかもしれない。
ストは国営企業には向かわない。
こうした従業員のストライキが起きるのは、外資企業の工場だけ、それも独資(外国法人単独資本)だけ、という不思議がある。
国有企業では事実上労働者のスト権は認められていない。民営企業では起こりえるが、地方政府が早期に鎮圧してしまう。合資(中国資本と外資の合弁)も、合弁先の地方政府系企業の手助け(裁判所も警察も地方政府がコントロールしている。家族の勤務先、子どもの通学先への圧力もありうる)があるので、ストは起きない。
追加:中国最低賃金23地区アップ
中国人事社会保障省は23日の記者会見で、今年1〜6月にかけて全国の23地区が法定最低賃金を引き上げたと発表した。同省によると、月額最低賃金が最も高いのが上海市で1200元(1万5400円)、時給水準のトップは北京市の11元(141円)だった。さらに賃金の団体交渉を制度化する「企業賃金条例」の制定準備も進めていることも明らかにした。
中国の労働力人口の変化
中国労働者の賃金上昇は必然的ともいえる。80年代に本格導入された一人っ子政策により、少子高齢化が急速に進んでいる。総人口に占める0〜14歳の割合は、82年の33.6%から、09年には18.5%までに低下している。15〜64歳の労働力人口は足元で年800万人のペースで増えているが、早ければ13年には減少に転ずると言われている。
所得倍増計画
人事社会保険省の蘇海南労働賃金研究所所長は、人民日報のインタビューで「平均賃金を年15%以上のペースで増やせば、5年で2倍になる」と指摘、政府が今秋まとめる11年からの次期5カ年計画に「所得倍増計画」を盛り込む方向で調整しているという。(10.6.9日経)中国ではこれまで平均賃金の伸びは、GDPの伸びを下回っていたが、GDPの伸びを上回るよう政策的に誘導することになる。最低賃金の引上げが行われるのではないか。
胡錦濤は03年3月国家主席に就任した後、「和諧社会」というスローガンを掲げて格差の是正を訴えているが、経済的な地域格差、貧富の差は、かえって拡大している。胡錦濤も引退を控え、自分の任期中に、貧富の差の縮小への道をつけておこうというのであろうか。