工作機械生産高 首位から3位に

日本は3位に

 ジャパン・アズ・ナンバースリーは、工作機械でも起きている。工作機械の生産高は09年、58億ドルと前年比57%減。中国とドイツに抜かれ3位に落ちた。
 日本の工作機械は自動車メーカー、同部品メーカー向けのものが多く、自動車産業の設備投資が大幅にペースダウンしたことがもろに影響して、この下落率になった。しかし、中国の技術力の向上、市場ニーズの変化も大きく影響しているのも事実である。

新興国向けニーズに合っている中国製

 中国勢は、かつての日本のように、日欧の技術を盗み取り、マシニングセンターなど複雑な製品まで作れるような技術力を備えるようになっている。精度は劣るが、その差は年々縮まっており、価格も安いため、高い精度を求められる生産工程では日本製を使い、低い精度で足りる生産工程では中国製を使うといった、使い分けも広がっている。
 ことに、新興国では、値段が安ければ品質もそこそこでいいため、工作機械も安い機械が好まれる。自動化の部分を安い労働力で置き換えることもできるので、そういった新興国仕様の工作機械作りに強い中国製品の人気が高いのだ。

輸出規制が輸出の足かせに

 日本製の遠心分離機がイラン等に輸出され、濃縮ウランの製造に利用されれて、社会問題化したこともあったように、工作機械は大量破壊兵器などの製造に転用されるリスクがある。このため高機能の工作機械は、新興国への販売が規制されている。経済産業省の審査は特に厳格で、他国なら輸出できるものでも、日本からだと輸出が許されないことも多い(ワッセナー協約)。
 アメリカもオバマが輸出倍増計画をぶち上げ、国家安全保障を理由に制限していたハイテク機器などの輸出は、「最も重要な技術」以外は制限の緩和を検討すると言っている。情報関連製品の輸出禁止を緩和しようとしている。日本がやらなければ、規制のない中国がやるだけだ。高度な工業技術を先進国が独占していた時代の規制を墨守すべきなのか、もう一度考えるべきだろう。