台湾企業への中国からの直接投資が一部解禁

台湾政府、中国からの直接投資を解禁

 台湾経済部(経済産業省)は6月30日、製造、建築、サービス業など計100分野で中国から台湾への直接投資を1日から解禁すると発表した。台湾はこれまでも、中国マネーの流入を香港経由などに限って認めてきたが、中国からの直接投資を認めるのは1949年の中台分離以来初めて。100分野にはパソコン部品、機械設備、自動車部品などの製造業、飲食業、ホテル業などが含まれる。案件ごとに申請を受け、政府が投資を認めるかどうか判断する。馬英九政権はこれまでも台中関係を活発化させてきたが、経済関係の拡大に大きく踏み出した。
 もっとも、100分野の中には、コンピューターの薄型ディスプレーや液晶パネル、太陽光発電パネルなどのハイテク産業、通信分野については投資を認めなかった。技術流出を警戒したとみられる。軍事産業など「国家の安全に影響のある」分野への投資も解禁されなかった。

台湾の貿易相手国1位は既に中国

 台湾の貿易相手国割合は、98年は1位が米国で22.8%、2位が日本で16.9%、中国は2.3%で番外だったが、08年は、1位が中国で19.8%、2位が日本の12.9%、3位が米国の11.5%と、台湾経済は中国との取引を急速に拡大している。人口約2300万人の台湾にとって、人口13億の中国本土市場は垂涎の対象。台湾財界は、今後の発展が見込めない米国、日本に見切りをつけ、中国からの投資を積極的に受け入れることで、中国市場進出を加速させようとしている。

解禁前から始まっている中国資本の進出

 台湾の自動車部品メーカー最大手、東陽実業廠や、同2位の堤維西交通工業は、アジア最大の自動車市場である中国での売り上げを伸ばすため、中国企業からの出資を受け入れる可能性を明らかにしている。中国は、自動車製造技術の高度化を目指しており、それにそっての動きだ。

通信業は解禁されず

 ところで、4月29日、中国携帯電話最大手のチャイナ・モバイル(中国移動)が、台湾通信大手ファーイーストーン(遠伝電信)の12%の株式を14%のプレミアムを上乗せして買い取るとの発表があった。しかし5月20日、台湾行政院大陸委員会は、中国移動による遠伝電信株取得を承認しないと発表。今回の解禁でも通信業の直接投資は解禁されなかった。