G20いよいよ始まる

G20開催

 4月2日からロンドンでG20金融サミットが開かれる。前回の金融サミットから4か月。その間、世界から需要が蒸発。中国、ロシア、インドなどの新興国でも景気が落ち込み、先進国でも多くの銀行が破たんし国有化され、世界的に貿易額が急速に縮小し、そして米大統領オバマに代わった。

財政出動

 米国は各国が足並みをそろえて積極的な財政出動を行おうというかもしれない。このグローバル化時代、自分の国だけで積極的に財政出動をしても十分な効果が現れないからだ。
 しかし欧州は、財政の健全を重視する。過剰財政赤字の取締手続に関する議定書(マーストリヒト条約附属第5議定書)第1条は、単年度の財政赤字額はGDPの3%以下、債務残高は同比で60%以下にしなければならないとし、違反すれば具体的な財政措置を求められたり、制裁金を科せられることにもなる。
 また米国は基軸通貨国であるから、ドル札を刷りまくってもドルの暴落は起こりにくいが、財政赤字が進めば基軸通貨でないユーロは暴落するかもしれない。欧州からすれば、「それは米国だからできるんだろうよ。うちらは金融機関救済、セーフティネット政策で手がいっぱいだ」ということになるんではないだろうか。

IMFの財源充実

 IMF、EU諸国等は、欧州各国に次の如く緊急融資を行っており、さすがのIMFも将来財源が不足するおそれがある。各国が資金んを提供してIMFの財源を充実することが論議される。

FSFの機能拡大

 金融安定化フォーラム(FSF)のメンバー国を現在の先進7カ国からG20参加国すべてに拡大。さらにFSFの機能を強化し、金融システムの改革の監視役を務めさせることになる。銀行経営者の報酬、デリバティブ取引、格付け機関が規制対象となる。
 FSFの活用が言われているのは、IMFが米国の支配下にあるからだ。今回の金融危機震源地の米国の金融機関を監督しようというのに、IMFを活用したのでは泥棒に鍵を持たせる結果になってしまうからである。IMF改革の話に米国が載る訳もなく。IMFの外に、監視機関を設けるのである。機能強化に合わせて「フォーラム」という名前でなく、「オーガニゼーション」みたいな常設的な機関っぽい名前になるはずである。

バーゼル

 国際決済銀行バーゼル銀行監督委員会は、同委員会が定めた「バーゼルⅠ」は国際取引を行う銀行には最低8%の自己資本を積むように課しており、「バーゼルⅡ」はこれの進化系で、不良債権引当状況などをより細かく反映させるものである。日本の銀行はこのバーゼルⅠに苦しめられ貸し渋りが発生し、それが失われた10年の大きな理由にもなっているのだが、欧米を中心にバーゼルⅡの強化が言われているらしい。この議論はこの準備のため開かれたG20蔵相会議で終わったかと思ったが、終わってないようだ。欧州は危ない銀行があればどんどん資本増強して国有化しているため、自己資本比率は高く保たれており、それで、バーゼルⅡの強化みたいなことを言っているらしい。政府の資本注入にあまり頼っていない邦銀にとっては不利だ。筋肉増強剤を注射された選手と、そうでない選手が一緒のコースを走らされるようなものであり、フェアーではない。

そのほか

 そのほか、IMF改革、保護主義に対するコメント等についても話し合われるだろう。