21日の日豪首脳電話協議での本当の話題  おそらくそれは捕鯨問題

日豪首脳 今頃金融サミットで電話協議?

09年2月21日、首相公邸で、麻生太郎首相と豪州のラッド首相との間で約30分間の電話協議が、豪州側の要請で行われた。4月の金融サミットに向け麻生首相が「前向きなメッセージを発信すべき」といい、ラッド首相が「IMF改革と不良債権処理問題の重視」を訴えたというのが、公式見解。しかし、実際は違うだろう。
4月の金融サミットの話題を今しても意味がないし、麻生さんがそのとき首相でいるかどうかも分からない。何もそんな急いでする話ではない。これは、豪州警察がシーシェパードを強制捜索したことが絡んでいるのではないか。

豪警察、シーシェパード強制捜査

豪警察は21日、日本の調査捕鯨への妨害活動を行った反捕鯨団体シー・シェパード」の船「スティーブ・アーウィン号」を20日に捜索したと明らかにした。日本の要請に基づく捜査の一環で、航海日誌やビデオなどが押収されたという。スティーブ・アーウィン号は今季の妨害活動で、日本の調査捕鯨船への衝突を繰り返した。(2月21日21時53分配信 毎日新聞

豪首相の立場

 豪州では日本の調査捕鯨への対応が、与野党の争点になっている。現在の労働党政権で、ラッド首相は政治上の重要な論点になっている。
 ハワード前自由党政権下では、捕鯨反対の世論が多いなか、反捕鯨の主張を極力抑えてきた。当時野党だった労働党は政府の弱腰を批判。豪軍艦を派遣し、捕鯨船に乗り込む案を発表した。ラッド現首相は当時野党の労働党党首として、その批判の先頭に立っていた。07年11月の総選挙で、労働党が圧勝。労働党が与党となってからはトーンダウンし、軍艦派遣はやめ、税関の巡視船を派遣することにした。しかし、日本の調査捕鯨を監視し、国際法廷への提訴に備え、写真やビデオなどの証拠収集を行うと公約していた。しかし、その後なかなか実行されず、野党になった自由党も、「前政権とほとんど変わりがない」と言って批判された。今回の強制捜査は、自分の公約と全く逆のことをやっているのである。世論の反発が予想される。
 ラッド首相は、日本との協力関係は損ないたくないが、国内の反捕鯨グループにも配慮しなければならない。何とか解決策を見出そうと、それが今回の電話になったのだろう。日本は南氷洋捕鯨はやめて日本近海での沿岸捕鯨に限るようにできないのかという話もあったと思う。日本も現政権の苦衷を察すべきだ。豪州では捕鯨問題は、日本で言えば拉致家族問題にも匹敵する国民の関心事なのである。
09年2月7日付当ブログ参
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090207/1234015609