日本GDP成長率マイナス12.7%減 なぜ一人負けなのか

GDPが急減

内閣府16日付発表によると、08年10〜12月期の実質GDP(季節調整値)は、前期(7〜9月期)比3.3%減。これを年率に換算すると12.7%減となる。2けたマイナスは、第1次石油危機時の74年1〜3月期以来、戦後2度目。麻生政権が慌てて、まだ09年度予算審議中というのに、30〜40兆円規模の追加予算を考えているのは、まさにこの成長率急減があってのことだ。
先月末に発表された米国の同時期の実質GDPは前期比・年率換算3・8%減で、日本のマイナスはこの3倍以上。想像を絶するものとなった。

輸出額の急減

 個人消費は、0.4%減だから、外需が影響していると見るしかない。輸出額を07年12月と08年12月とで比べると、自動車で1.35兆→0.74兆(45%減) 電気機器で1.44兆→0.87兆(40%減)、一般機器で1.48兆→1.04兆(30%減)と、実際大幅に減っている(財務省貿易統計)。
http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm?M=57&P=1,1,,,,,,,,,,2008,,12,,,,,,,,,,,,,1,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,

日本の一人負け

 名目GDPにおける輸出依存度をみると、日本は07年度で17・9%。米国の8・4%を大きく上回っている。金融商品の影響が少ないとされる日本がなぜこんなにGDPが下がったのか。一つに在庫の問題がある。
 たとえば、A製作所では、Bストアに毎月100個の机を納品していた。Bはときどき、月間150個の机を発注することがあるため、Aはそれに備えて、絶えず150個の在庫を揃えていた。ところが突然Bストアの売れ行きが落ち、机が月間70個しか売れなくなってしまった。Bストアでは在庫がとうとう300個になってしまった。Bは在庫が100個に減れば、次の発注をするが、月間70個の机しか発注できない旨Bに伝えてきた。この場合深刻なのはAである。Bは毎月机の売り上げが減りはしたが70個分の売り上げがある。しかしAは最悪だ。あと3か月経たないと、在庫がはけず、その間売上は全く上がらない。
 中国経済も輸出頼みだが、日本は中国以上にGDPが落ちている。これはなぜか、これは生産ラインで言えば中国が下流で、日本が上流のためだ。電器製品の国際分業の流れはこうだ、サプライヤーの日本が半導体等を生産→台湾等がこれを使ってモジュールを制作(中間品のようなもの)→中国がモジュールを最終商品として組み立てる(セットメーカー)。セットメーカーは米国の実需とつながっているため、実需に応じ、すぐに生産調整するため在庫が少なくて済む。しかしモジュールメーカーは、実需のほかに、もし追加発注があったらという仮需も想定して生産するため、在庫が多くなる。サプライヤーはモジュールメーカーの追加発注という仮需にも応えるため、さらに在庫が多くなる。
※輸出依存に関する統計的数値等については↓
 http://www.jftc.or.jp/shoshaeye/angle/angle2007078.pdf

日本の主力工業輸出品も影響

 また日本の主力工業輸出品は、自動車、家電、電子部品、工作機械である。自動車、家電等の耐久消費財は、家計が節約モードになってくるとどうしても優先順位が後ろになってしまう。電子部品は産業のコメとも言われるが、これも耐久消費財に利用される。現在リストラで設備が廃棄される時代に、設備投資に必要な工作機械の需要が急落するのはやむを得ない。