菅義偉が政府紙幣ばらまきを公言 高橋洋一の入れ知恵か

菅義偉 政府紙幣ばらまきを示唆

 自民党菅義偉選挙対策副委員長は、1日、フジテレビの番組「新報道2001」で、日本銀行券のほかに政府自ら「政府紙幣」を発行し、景気対策を進めるべきだという考え方について、「非常に興味を持っている。100年に1度の危機の中では一つの政策だと思う」と前向きな姿勢を示した。
 これは中川秀直の知恵袋、小泉改革の残党の高橋洋一が最近よく言っている見解だ。もっともこれは高橋洋一の独創ではなく、元は現FRB議長のバーナンキの持説だ。

菅義偉小泉改革の残党

 彼は安倍晋三の側近。小泉改革の信奉者である。彼のHPを見ると、文芸春秋社の「日本の論点2009」に「構造改革の継続と加速」との文を執筆しており、これがHPでも宣伝されている。
 ところで必見はHPの中の「アニメでわかる すが義偉」というページ。見てみたが、全然画が動いていない。単なる漫画。アニメ=動画ということが分かっていないのだろう。一度麻生さんに教えてもらうと良い。

バーナンキのヘリコプターマネー

 上にも書いたが、この発想のネタ元はバーナンキである。彼は「デフレの時はヘリコプターで金を撒けばいい」と言ったことから、こうした政治手法はヘリコプターマネーと呼ばれ、バーナンキは「ヘリコプター・ベン」というあだ名もある。今米国がやっているのもヘリコプターマネーというに近い。バーナンキはようやく自分の自説を実行する機会が来たと興奮気味なのではないか。
 しかし、失われた10年の中でインフレターゲットもしなかった日銀が、このようなヘリコプターマネーをする訳がない。だから、政府の独断で発行しうる「政府紙幣」を撒こうというのである。

米国にはできても日本ではできない

 しかし日本と米国とは違う。米国のドルは基軸通貨だ。ある程度は、印刷しまくって、ばらまいても、暴落の心配はない。第1にドルは世界中に流通している。分母が大きいだけ分子が増えても影響は小さい。第2に他の国はドルを刷ろうと思っても刷れない。第3に多くの国は、外貨準備を米国債=ドルで行っているため暴落してもらいたくないと思っている(08年12月15日付ブログ「米国で始まったインフレ・ターゲット」参照http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20081215/1229365740)。日本とは全然寄って立つ基盤が違うのである。
 なぜ菅義偉にしろ、高橋洋一にしろこんなことを言うのだろうか。彼らは、頭の先からつま先まで新自由主義市場経済絶対主義=マネタリスト=財政緊縮主義=小さな政府最高!主義に凝り固まっている。通常、不景気のときはニューディール政策のように、大きな政府福祉国家主義=ケインジアン=財政積極主義=大きな政府でいいんじゃない主義が普通だ。しかし彼らはそれでは困るのである。

麻生も細田もNO

 麻生さんは2日夜、菅義偉のヘリコプターマネー発言について、今のところとてもそんな段階じゃない」と、記者団の質問に答えた。細田幹事長も2日の記者会見で、「そういうことができるなら、毎年30兆円ずつ紙幣を刷って、800兆円の借金を全部返したことにしてはどうか。それが空理空論で意味がないことは、皆さんもよくご存じだ」(細田さんらしい乱暴な理屈だが)と、麻生さん同様のコメントをしている。こちらの意見の方がまともだ。
※当落選下の小泉チルドレンが政府札発行アピールで選挙対策、円安危機のきっかけか、といった内容です。↓
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090209/1234200396
※びっくりしました。高橋洋一氏が置引で逮捕されました↓
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090330/1238381152