ビッグマック理論によれば 1ドル=90円30銭

ビッグマック理論とは

ビッグマック理論のビッグマックとは、まさに、マクドナルドで売っているあのビッグマックのことだ。
イギリスのエコノミスト誌の編集部が86年に発表した理論で、各国通貨の為替レートを、各国で販売されているマクドナルドのビッグマックの価格を比較することで算出しようというものである。

ビッグマック理論で1ドルは90円30銭、第一生命経済研究所試算では90円90銭

ビッグマック理論でドル円レートを計算してみよう。ビッグマックの価格は米国で3.1ドル、日本で280円。280円÷3.1ドル=90円30銭となる。
第一生命経済研究所が、各国の購買力平価で計算した、ドル円レートは1ドル=90円90銭(08年11月4日日本経済新聞)、ビッグマック理論で計算するのとほぼ同じ金額なのである。恐ろしいくらいの一致である。

第一生命経済研究所が計算に使った購買力平価とは

購買力平価とは、「それぞれの通貨の購買力(商品を購入する力)が等しくなるように計算した各国通貨の交換比率のこと」である。
たとえば、同じ車が、日本では100万円、米国では1万ドルで売られていたとする。この場合、100万円と1万ドルは、同じ購買力があることになる。
ただ単一の商品で比較するのでは正確性、普遍性に欠けるので、一般的には「一世帯の生計を営むために必要な商品・サービスが、同じ種類、同じ量だけ入った買い物かご(マーケットバスケット)」を考え、この買い物かごに入った商品・サービスを、いくらで買えるかを、計算することで購買力平価を出している。各国通貨のこの購買力平価を比べることで、本来あるべき通貨為替レートが得られることになる。

購買力平価はどこが出しているの?

内閣府が、当時経企庁を名乗っていた88年以来、毎年作成している「生計費ベースの購買力平価」が、この購買力平価にあたる。
OECD購買力平価を出しており、さきの第一生命経済研究所が算出した為替レートは、OECDの統計を使っているものと思われる。

ビッグマック購買力平価を見るのに最適の商品

ビッグマック理論は、まさに各国の購買力平価を、ビッグマックの価格で比較しようというのだ。
ビッグマックは全世界でほぼ同一品質のものが販売されている。ビッグマックの価格は、原材料費、店舗の光熱費、労働賃金など、マーケットバスケットに近いものが合わさって形成されている。おそらく、これに着目してエコノミストの編集者が、ビッグマック理論で通貨為替レートを計算したら、OECD購買力平価によるのと近い数値が出たので、この理論を発表したのであろう。

各国のビッグマック価格

世界各国のビッグマックの価格については、以下のサイトを参照にしてほしい。
欧州ではマックは2.94ユーロ、するとユーロ円レートは280円÷2.94ユーロ=95.2ユーロという恐ろしい結果が出る。
ちなみに筆者は、1豪ドル100円ほどのときに豪ドル外貨預金をして、えらい目にあっているが、豪州でビッグマックは3.25豪ドル。すると280円÷3.25豪ドル=86.1ドル。今1豪ドル61.24円だから、ここは押し目買いか!

エコノミスト誌から

30年後のビッグマック指標(ビッグマック理論によって算出した指標)と題した06年5月25日付エコノミスト誌の一文を引用する。
May 25th 2006
WHEN our economics editor invented the Big Mac index in 1986 as a light-hearted introduction to exchange-rate theory, little did she think that 20 years later she would still be munching her way, a little less sylph-like, around the world. As burgernomics enters its third decade, the Big Mac index is widely used and abused around the globe. It is time to take stock of what burgers do and do not tell you about exchange rates.
http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=6972477