母子家庭と若者デモ

10月5日、あしなが育英会の大会が行われました。遺児と母親の全国大会が行われたのは17年ぶりのことで、大会後400人の母子が、公的支援の拡大を求めて銀座でデモ行進をしました。
 同会が実施したアンケートでは、母の中で正社員等の「常雇い」は33.0%に過ぎず、パート等の不安定就労が56.7%で02年9月調査より12.5%増えたとのことです。手取りの月収は「常雇い」でも16万1000円、不安定就労者は9万9376円、平均は約12万円とのことで02年9月調査時から1万600円減となっています。とくに、この半年間に物価高などで母子家庭の生活が「苦しくなった」人が9割といいます。格差社会のマイナス面がそのまま表れたといっていいでしょう。
同会の訴えの中には、奨学金制度の改悪に対する改善要求が含まれています。日本学生支援機構(旧育英会)の高校奨学金制度は、05年度から都道府県に移管され、その運用は各自治体に任されるようになりました。そのため、都道府県によって貸与金額、採用人数、採用条件などが異なるという事態が生じています。 父母の連帯保証人に加えて別生計の保証人を要求したり(群馬、新潟、静岡など多数)、あしなが育英会など民間の奨学金との併用を認めない運用がなされています(青森、東京、岡山など多数)。
日本学生支援機構奨学金は、もともと入学後毎月一定額を支給するものでしかなく、入学金の用意ができないと奨学金だけでは進学もできません。生活保護制度の改正に伴い、05年度から、授業料、入学金、通学費、学用品費等、教材費等の高等学校等就学費が生活保護費の中で給付されることとなりましたが、大学などへの進学のための一時金については、なんらの手当てもされていないのです。困窮している母子家庭に支払われる児童扶養手当についても、現行制度では、高校卒業時(18歳到達後の年度末)で支給が打ち切られてしまいます。これでは貧乏人は子どもを大学にやるなといっているに等しいことになります。