厚労省が中小企業向け育休支援補助金創設

昨日2月20日の日経新聞は,厚生労働省が,育児休業を取得した従業員が職場に復帰しやすい仕組みを導入する中小企業を対象に30万円を助成する制度について報じています。
これには二つのコースがあります。

育休復帰支援プランコース(育休取得時)の支給要件は,雇用保険の適用事業主である中小企業事業主が次の取組を行うこととされている。
・「育休復帰支援プランにより,労働者の円滑な育児休業の取得,職場風紀を支援する措置を実施すること」を育児休業マニュアル等に規定し,全労働者へ周知すること,
育児休業取得予定者とその上司又は人事労務担当者が面談を実施した上で面談結果を記録し,育休復帰プランナーの支援を受け,育休復帰支援プランを作成すること,
・作成したプランに基づき,育児休業取得予定者の育児休業(産後休業)の開始日までに業務の引き継ぎを実施させること
育児休業取得予定者が,休業開始日までに雇用保険被保険者として雇用されており,3ヶ月以上の育児休業(産後休業)を取得されたこと

育休復帰支援プランコース(職場復帰時)の支給要件は,育休復帰支援プランコース(育休取得時)中を受給した中小企業事業主が,同じ労働者に対して次の取組を行うこととされている。
育児休業取得者が職場復帰するまでに,育休復帰支援プランに基づき育児休業中の職場の情報・資料の提供を実施すること
育児休業取得者の職場復帰前と職場復帰後に,育児休業取得者とその上司または人事労務担当者が面談を実施し,面談結果を記録すること
育児休業取得者を面談結果に寄り,原則として原職または原職相当職に復帰させること
育児休業取得者を,育児休業終了後,引き続き雇用保険被保険者として6ヶ月以上雇用しており,支給申請日まで雇用していること

昨年11月最高裁が、産休後に降格するような人事は、本人の自由意思による承諾があるか、均等法9条3項の趣旨に反しないと考えられるだけの特段の事情がない限り、無効であるという判断を示しました。この判断は、育休申請後の人事処分にも成り立ちます。
中小企業の場合には,大企業に比べ,1人の従業員が休業することによる影響が大きいため、職場復帰を受け入れることは、なかなか容易ではありません。この助成金制度が,中小企業が育休取得後のプロセスを整備する契機になればと期待しています。