シェアハウスビジネスに冷水

国土交通省は9月6日、特定行政庁(通常市町村、建築主事がいなければ県がこれに相当)に対して、いわゆるシェアハウスは建築基準法において「寄宿舎」に該当すること、また、寄宿舎に求められる間仕切り壁の耐火性を満たすことが必要であり、それらに違反する場合は是正指導を進めるよう通知した。寄宿舎に該当した場合、通常の住宅では求められない間仕切り壁の耐火性確保が必要になる。
住宅新報2013年9月10日号
マスコミでは、これまで「違法ハウス」と「シェアハウス」とは意識的に区別して扱ってきたように思う。「違法ハウス」とは倉庫や事務所として使われていたビル内に簡素な仕切りを作って入居者をすし詰め状態に押し込むといった建物。通常シェアハウスとは、戸建て住宅などをそのまま、部屋を各居住者の専用スペースとするスタイルのものだったり、アパートを改装し、共用部分と居住部分を切り離す等したもの、新たにシェアハウス用に物件を新築したものを指し、違法ハウス=悪、シェアハウス=善といった捉え方がされていた。
ただ、ネットを見ると、住居用のマンションで区分所有者の1人が60平米ほどの3LDKを「12人用のシェアハウスに改築する」と申し出て、管理組合とトラブルになったケースもある。この例では、各室の広さは1.5〜3.2畳しかなく、大半に窓がないという。ひどい業者となると、さらに二段ベッドを備え付け、まさにタコ部屋としか言えないような作りのところもあるという。これなどは「違法ハウス」に分類されてもいいものだろう。
しかし今回の国交省の通知は、シェアハウスも違法ハウスも、まとめて寄宿舎としての要件を満たすように要求するということらしい。ただ、住宅新法の全景記事を見ると、市町村によって、対応が分かれており、今回の通知があったからと言って、全てのシェアハウスに対して是正を求める訳ではないようだ。また、建築基準法違反の建物に対しては、最悪除却命令と言って取り壊しがなされるが、除却命令に至る前に、指導があり、注意喚起文があり、期限付き是正勧告書があってもだめということになって初めて、除却命令が出るのであって、実際除却命令まで手続きが進むことは滅多にない。