グリー事件

8月8日、知的財産高裁は、グリー対DeNA事件で、DeNAによるグリーの釣りゲームの著作権侵害を認めず、グリーの逆転敗訴となった。問題となったこの釣りゲームは、魚を引き寄せる場面で、

  1. 水中だけ横から描かれている
  2. 画面のほぼ中央に三重の同心円がある
  3. 黒い魚影や釣り糸がかかれている

などの共通点がある。
高裁は「共通部分はあってもありふれた表現であり、表現上の創作性はない」とした。
しかし、1審の東京地裁著作権侵害を認定しているように、異論はあるだろう。
携帯ゲームの場合、狭い画面の中で、ゲーム画面を構成しなければならず、盛り込みたい内容があっても必要不可欠なものに絞り込み、それでいてインパクトのあるものを作りこまなければならない。そのため、ある程度似た造りにならざるを得ない。しかし、その内容に絞り込むためには、推敲の積み重ねがあるだろう。
しかし、著作権は、そうした労苦の積み重ねにはなんらの価値を認めない。著作権法がそもそも文芸作品、芸術作品の創作性を保護しようとして出来た法律のため、これを商業的著作物に適用するには無理がある。「YOMIURI ON LINE」事件でも同様の点が問題になった。本件は両者が同業者であり、不公正な競争ともいうべき事情があり、「YOMIURI ON LINE」事件でも認められたように、損害賠償請求であれば認容の可能性があったであろうか。