東芝、ソニーの中小型液晶統合に日立も参加

　複数の関係筋が３０日、明らかにしたところによると、東芝とソニーの中小型液晶事業の統合交渉に日立製作所が参加を検討しているという。日立は台湾の鴻海精密工業と同事業の提携交渉を進めてきたが難航しており、日本連合への合流の可能性が高まってきた。
　調査会社ディスプレイサーチによると、２０１０年の中小型液晶の世界シェアは、東芝が９．２％、ソニーが６．０％で、日立ディスプレイズが６．３％、３社の統合で２１．５％となり、首位シャープの１４．８％、韓国サムスン電子の１１．９％、台湾奇美電子の１１．７％を大きく引き離すことになる。
　日立が加わった場合、統合新会社には官民ファンドの産業革新機構が２０００億円規模を出資することで調整が進む方向だ。

液晶パネル

　２０１０年の液晶パネルの世界生産高で、ＬＧディスプレーが２５．９％、サムスン電子が２２．９％と、韓国勢が合計４８．８％のシェアを占める。大型液晶パネルはコモディティー化し、投下資本の大小が死命を制する状況になっており、日本メーカーは全く太刀打ちできない状況だ。しかも、中国企業も大型液晶パネル生産に乗り出しており、そうなると日本に復活の目は無い。日本メーカーとしてはまだ技術的に優位に立つ中小型液晶事業に注力しようということである。

日立時間を脱する日立

　日立はかつては経営判断が遅く、「日立時間」と揶揄されていたが、最近の日立は経営判断が果断かつ迅速だ。日立グループは国内でも最大の雇用をしている企業であり、日立の今後を応援したい。
参考：ロイター「東芝・ソニーの中小型液晶統合交渉、日立も参加検討＝関係筋」
2011年 06月 30日 11:01 JST

追記

　日経7/1朝刊に、鴻海精密工業の郭台銘董事長のインタビュー記事があった。
　郭董事長は、「シャープの液晶技術はサムソンより高いのに、サムソンに勝てないのは何故か。」「自社ブランドを持たない鴻海にモノ作りは任せるべきだ」「サムスンに１００％勝つ自信がある。」「日台企業が協力して中国に出るのが最も良いビジネスモデルだ」と語り、シャープに秋波を送っている。
　世界の薄型テレビでは、サムスン電子とＬＧ電子の韓国２社で世界シェアの３０％強を占めている。