日本政策金融公庫の信用保険制度 10年度の赤字は1兆円超

 中小企業が銀行に融資を申し込んでも銀行はなかなか応じない。そのため、信用保証協会というところが、中小企業の保証人になることで、銀行も融資し易くなる。以前は100%保証していた。しかしそうなると、銀行はリスクを負わなくて済むために、危ない会社でも、「保証協会保証が損するだけで、うちが損しないからいいや」と、不良案件が随分保証協会に持ち込まれ、保証協会の赤字が膨らんだ。そのため、07年10月から責任共有制度が始まった。保証協会が8割は責任を負うが、銀行も残りの2割について責任を負うというものだ。銀行にもリスクを負わせて「変な案件を寄越すなよ。」というのが制度の狙いである。
 しかし、それも束の間。08年9月、、リーマンショックが起こった。政府は、経済危機対策として08年10月末から、緊急保証制度というものを開始した。一定の不況業種を指定して、当該業種に限り限り、信用保証協会が100%保証をしようというものだ。その代わり、日本政策金融公庫が保険を引き受け、損失の損失の8割を負担しようというのである。
 そうしたら案の定、破綻案件が続出。現在の事故率は10%にもなる。そのため保険料が膨らみ、10年度は1兆円の赤字になるという。(10.6.19日経)