GPIF

GPIFとは

 公的年金の運用資産120兆円は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)というところが、資産運用している。当然天下り天国でもある。
 このGPIFの前身は、年金福祉事業団。同事業団は、年金保険料1953億円を投じて、全国に13か所のグリーンピアを建設。豪華宿泊施設を誇ったが、どこも赤字のため、全て売却。しかし売却金総額は、わずか約48億円と、国民の金1900億円近くをどぶに捨てた。また住宅ローン事業も行ったが、住宅金融公庫の次順位抵当で貸付をしていたため、破綻案件ではロクに債権回収できず、巨額の赤字を生み出した。この国賊特殊法人が、名前を変えて生き延びている。それがGPIFである。

ポートフォリオ

 GPIFの現在のポートフォリオは、国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%、短期資産5%となっている。昨年9月末時点で国内債73.01%、国内株10.47%、外債8.2%、外国株8.30%、短期資産0%となっている。こうした運用を実際誰がやっているかというと、GPIFは何もやっていない。複数の民間金融機関を選んで、そこに運用を丸投げしている。だからこんな組織は要らない。選定委員会みたいなものを作れば十分だ。インデックス投信なら、頭も要らない。手数料の安いところにやらせればいい。GPIFが生き残っていること自体おかしいのだ。

民主党内の上げ潮派と慎重派の争い

 GPIFは厚労省の管轄であり、長妻大臣が所管しているが、原口総務相が横車を入れている。原口総務相は「独法の業務を評価する機能が総務相にある。」と主張し、「GPIFの運営の在り方に関する検討会」を作らせた。その検討会で、今までの安全運用から、積極運用に方針を大転換しようともくろんでいるのだ。具体的には、新興国に積極的に投資をして高利回りを狙おうと考えているらしい。しかし長妻さんは見てのとおり安定運用派。厚労省総務省、長妻対原口で、ローリスク・ローリターンか、ハイリスク・ハイリターンかが争われているのである。
 原口さんのような考えは、自民党政権時代にも有った。湾岸諸国や中国が政府系ファンド(SWF)でもうけているのを見て、同じことをやろうとしたのである。
 確かに、カリフォルニア州職員の退職年金基金カルパース)は、8割をリスク資産で運用、09年の4〜12月期の収益率は20.7%、GPIFの8%の2倍以上の利回りだ。ただ、リスクも大きい。リーマンショックのあった08年度、カルパースは運用資産を29.1%目減りさせているが、GPIFは10%減で済んでいる。
 原口さんは新興国株式に投資することを考えているらしいが、今さら遅いのではないか。もうすでに値は十分に上がっており、今参戦しても火傷をするだけではなかろうか。