ヒュンダイに抜かれたトヨタ

日本勢、ホンダ以外は品質でヒュンダイに劣る

米国の民間調査会社、JDパワー&アソシエイツ社が6月17日、「2010年米国自動車初期品質調査」の結果を公表。新車購入者、リース客を対象に、納車から90日後の初期品質について調査したもので、合計228項目につき、8万2000人以上から回答を得たものだ。
 以下がそのランキングだが。PPとは「100台当たりの不具合指摘件数」。これを見るとトヨタの凋落が目立つ。レクサスが昨年首位から4位、それ以外のトヨタ車は昨年6位から15位に、と急落した。
 トヨタ、スバル、三菱、日産ともに、フォード、ヒュンダイ現代自動車)の後塵を拝している。

  1. ポルシェ(83PP)
  2. アキュラ(86PP)
  3. メルセデスベンツ(87PP)
  4. レクサス(88PP)
  5. フォード(93PP)
  6. ホンダ(95PP)
  7. ヒュンダイ(102PP)
  8. リンカーン(106PP)
  9. インフィニティ(107PP)
  10. ボルボ(109PP)
  11. ダッジラム(110PP)
  12. アウディ/キャデラック/シボレー/日産(111PP)
  13. BMW/マーキュリー(113PP)
  14. ビュイック/マツダ/サイオン(114PP)
  15. トヨタ(117PP)
  16. スバル(121PP)
  17. クライスラー/スズキ(122PP)
  18. GMC/キア(126PP)
  19. ジープ(129PP)
  20. ダッジ/ジャガー(130PP)
  21. MINI(133PP)
  22. フォルクスワーゲン(135PP)
  23. 三菱(146PP)
  24. ランドローバー(170PP)

平均値は109PP

既に去年から日本車はヒュンダイより低ランク

 因みに、昨年は1位レクサス、2位:ポルシェ、3位キャデラック、4位:ヒュンダイ、5位ホンダ、6位メルセデス、7位トヨタというランキング結果だった。ヒュンダイは去年以前から品質でトヨタを追い抜いている。ヒュンダイが安かろ悪かろだった時代は過去のものになっているということだ。

ヒュンダイの躍進

 ヒュンダイの今年1 - 5月の新車販売実績は、海外では、前年同期比35.3%増の117万7673台。韓国も含めての全世界では30.5%増の145万0270台。新型『ソナタ』やSUVの『ツーソンix』のセールスが好調だという。
 ヒュンダイは既にホンダを販売台数で抜き去っている。さらに、両社の09年の地域別売上で見ると、ホンダは米国、ヒュンダイは欧州、新興国での販売が強いことが分かる。特に新興国でのホンダの出遅れは決定的と言って良い。ここに、韓国のパリパリ(急げの意味)経営の本領が発揮されている。
ヒュンダイ: 韓国70.1万台,北米43.5万台,欧州59.4万台,中国57.0万台,他245.0万台 合計475万台
ホンダ : 日本62.5万台,北米133.2万台,欧州28.4万台,中国58.2万台,他56.9万台 合計339万台
 ヒュンダイは北米市場では日本勢の後塵を拝してきたが、欧州危機、対ユーロでのウォン高で今後欧州への輸出は厳しくなる。そうなればパリパリで米国市場での売り込みが激しくなるだろう。
 ワールドカップで、ヒュンダイサムスンのロゴを見ない日はない。各国の代表チームの移動バスには「HYUNDAI」の文字がデカデカと書かれている。会場のあちこちにある「SAMSUNG」の文字。日本企業はわきに追いやられている。
 ヒュンダイの死角は、後発のため、基礎技術を日本に握られているため、半ばセットメーカー的な存在で、利益率も落ちる点にある。しかし今後電気自動車となれば、ガソリン車での技術の蓄積は不要となる。ここにヒュンダイの一発逆転のカギがある。さらにLG化学との連携も有りそうだ。LG化学はGMの電気自動車ボルト向けに電池を供給している。
 電池自動車に欠けているのは中国のBYDも同様だ。BYDは日本の部品メーカーオギハラを買収し、金(世界1の富豪投資家バフェットが投資している銘柄なので、海外投資を得やすい)で技術的な遅れを取り戻そうとしている。

アキュラ

 ところで2位のアキュラは、ホンダの米国向の高級車ブランド。米国ではレジェンドがアキュラRL、インスパイアがアキュラTLとして販売されている。かつてはNSXもアキュラNSXという名称で販売されていた。レクサス等が国内生産が主なのに対し、アキュラは北米でその7割が生産されている。アキュラは04年11月にメキシコ、06年9月日に中国でも販売が開始され、11年を目処として、ロシア市場へも進出する計画が発表されるなど、国際ブランド化が進んできた。

日本政策金融公庫の信用保険制度 10年度の赤字は1兆円超

 中小企業が銀行に融資を申し込んでも銀行はなかなか応じない。そのため、信用保証協会というところが、中小企業の保証人になることで、銀行も融資し易くなる。以前は100%保証していた。しかしそうなると、銀行はリスクを負わなくて済むために、危ない会社でも、「保証協会保証が損するだけで、うちが損しないからいいや」と、不良案件が随分保証協会に持ち込まれ、保証協会の赤字が膨らんだ。そのため、07年10月から責任共有制度が始まった。保証協会が8割は責任を負うが、銀行も残りの2割について責任を負うというものだ。銀行にもリスクを負わせて「変な案件を寄越すなよ。」というのが制度の狙いである。
 しかし、それも束の間。08年9月、、リーマンショックが起こった。政府は、経済危機対策として08年10月末から、緊急保証制度というものを開始した。一定の不況業種を指定して、当該業種に限り限り、信用保証協会が100%保証をしようというものだ。その代わり、日本政策金融公庫が保険を引き受け、損失の損失の8割を負担しようというのである。
 そうしたら案の定、破綻案件が続出。現在の事故率は10%にもなる。そのため保険料が膨らみ、10年度は1兆円の赤字になるという。(10.6.19日経)