遺産分割調停が増えたようだが

相続トラブルが増えている。遺産分割調停事件はこの10年間で25%増加している。相続争いなんかは、資産家の話、うちみたいな貧乏所帯には関係ない、と思っている人も多い。
しかし、司法統計によると、家裁に持ち込まれる遺産分割調停のうち、資産1000万円以下が30.9%、1000万円超5000万円以下が43.3%、両者合わせると74.2%、全体の4分の3を占める。
資産家は遺言書を作っていることが多いが、そうでない人は、遺言書を作るという発想自体なく、結局こうした層で遺産争いが起きることが多い。

こうした場合、必ず出てくるのが寄与分特別受益の主張だ。
寄与分とは、生前親の面倒をいろいろ見たからその分自分は多くもらえて当然だという主張である。
しかし、この寄与分、家裁は殆ど認めないと言って良いだろう。
裁判所が認めるのは、財産的寄与である。
介護の場合、財産的寄与が認められるケースはあまりない。
親の事業を手伝ったというケースでも、それなりの給与を貰っていれば、特別な寄与はなかったとされ易い。

では、特別受益というのはどういうものか。
特別受益とは、親から生前に家を建ててもらったり、お金をもらったりした場合を言う。生前に貰えるものを貰っているんだから、相続の時はその分削られて当然だろう、という発想だ。
ただ、そう主張している人自身もそれなりに貰っていることもあり、そうした場合はチャラになってしまう。

またよくあるのが、もっと財産があったはず、との争い。

  • こんな預金が少ない筈がない。どこか別に口座がある筈だ。
  • 10年前に市役所を定年退職して、退職金も2000万円近くあった。預金がこれしない筈がない。
  • 兄が病気の父を引き取ってから、生活が急に贅沢になった。兄が親の預金を使いこんでいる筈。

裁判所も、こうした主張があれば3回ほどは、期日をとってくれるが、それでもまとまらなければ「そうした主張は家裁ではなく、地裁の管轄だから、そちらで裁判してくれ」と言われてしまう。