日本銀行インフレターゲットに転換

日本銀行は、「金融政策運営に当たり、各政策委員が、中長期的にみて物価が安定していると理解する物価上昇率」を「中長期的な物価安定の理解」と呼び、先行きの金融政策運営の考え方の軸としている。

 「中長期的な物価安定の理解」は、消費者物価指数の前年比で0〜2%程度の範囲内とされてきた。しかし、このような表現では0%もOKという意思表示にも取られかねず、デフレ容認ではないかという市場の懸念もあった。

 12月18日の政策決定会合で、「日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識している。」との考え方の下、「金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく」とし、「中長期的な物価安定の理解」の表現について、「委員会としてゼロ%以下のマイナスの値は許容していないこと、及び、委員の大勢は1%程度を中心と考えている」と補足した。しかし世間は単なる補足ではなく、インフレターゲットを明確にしたと受け止めている。

 日銀はそれ以前にも「委員毎の中心値は、大勢として、概ね1%の前後で分散している」としていたが(http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/tenbo/gor0704.htm)、そういった日銀の考え方はどちらかというと、HPの中でひっそり表明されているだけで、世間的には「0〜2%」の「0」に目が向けられてきた。

 今回の日銀決定を、菅さんは「実質的なインフレターゲットを打ち出した。デフレファイターの姿勢をはっきりさせた。非常に良かった」と手放しでの褒めようだ。

 また今回「極めて緩和的な金融環境を維持していく」との発言とともに、「1%」を伝えたことで、市場は物価上昇率が1%になるまでは緩和的な金融政策を続けて行くのだろう、という時間軸効果も読み取っている。