政府のICT新戦略「3ヶ年緊急プラン」の実態

 政府が検討している経済危機に対応したIT(今はICTというようだが)の新戦略「3カ年緊急プラン」(仮称)の原案が1日、判明した。(1)医療現場のIT環境強化(2)IT人材の育成(3)電子行政の推進(4)環境対応型など新産業の創出の4つの重点分野の具体策を提示。3年間で官民合わせて3兆円の投資の増加と、40〜50万人の雇用創出を目指す目標を掲げた。」http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=AS3S0100D%2001032009
 (1)は、アルゴア提唱の「情報スーパーハイウェイ」にならってのネーミング。「日本健康情報スーパーハイウェイ」というもので、医療機関同士をつなぐ光ファイバー網を新たに整備し、診断情報を瞬時にやり取りするシステムだそうだ。しかし、そうなると電子カルテの導入が不可欠になってくるが、医師によってカルテのつけ方は様々であり、これの共通化が大きな障害となるだろう。この程度のことでスーパーハイウェイを名乗るのはちょっと、おこがましいのでは?
 (2)のIT人材行く性はネットカフェでコンピュータ、情報処理、通信関係の基礎知識を学べるようにするという。ネットカフェ難民を前提としているところが、政治の品性を問われよう。
 (3)電子行政の推進。はっきり言って税金の無駄遣い。また役所が喜んで予算の分捕り合戦をやるのが目に見えている。過去のこうした事業で、使えないソフトに、どれだけ巨額の税金が使われ、しかも利用者もなく無駄になってきたことか。
 (4)ITS(高度道路交通システム)の推進が中心とのことである。ITCとは、最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークさせることにより、交通事故、渋滞、環境悪化といった道路交通問題の解決を図る新しい道路交通システムのことである。これについてはETC普及のための天下り団体がぼろもうけをし、マスメディアから批判を受けている。この事業には以下の財団法人がぶら下がって予算のおこぼれを狙っている。このことからも、この3ヶ年プランが「役人の作文」だということが明らかだろう。

  1. (財)道路新産業開発機構/HIDO
  2. (財)国土技術研究センター/JICE
  3. (財)道路システム高度化推進機構/ORSE
  4. (財)道路交通情報通信システムセンター/VICS
  5. (財)日本道路交通情報センター/JARTIC
  6. (財)日本自動車研究所/JARI (ITS)
  7. 技術研究組合 走行支援道路システム開発機構/AHSRA (国民の税金を使っているかは不明)