アイフルのみなし弁済主張?

アイフルは、平成18年6月25日以降作成した基本契約書では、期限の利益の喪失約款に「本条に言う利息は、利息制限法第1条第1項に規定する利率を超えない範囲内においてのみ効力を有します」との文言を但書で加えている。アイフルは、平成18年1月13日最高裁判決を逆手に取り、この但書の文言を理由に、同最高裁判決以降はみなし弁済が成立すると、主張してくる。もっとも、みなし弁済の成立を主張してくるかというと、善意の受益者であるとの理由にこれを主張するだけだ。これに対しては、次項のような反論を準備書面でしているのだが、ご意見あればいただきたい。

  1. 被告第2準備書面第2・3項中、「平成18年6月25日以降交付した法定利息を支払っていれば期限の利益を喪失しない」旨の主張に対する反論に対して次のとおり反論する。
  2. 被告の主張は、原告が被告との間で平成18年6月26日以降に契約を締結したことがあって、初めて成り立つものであるが、原告は同日以降新たな契約は行っていない。
  3. 仮に、原告が被告との間で平成18年6月26日以降に契約を締結したことがあったとしても、被告の論は成り立ちえない。
  4. 平成18年1月13日判決は「この特約(原告注:期限の利益喪失約款)の存在は,通常,債務者に対し,支払期日に約定の元本と共に制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,期限の利益を喪失し,残元本全額を直ちに一括して支払い,これに対する遅延損害金を支払うべき義務を負うことになるとの誤解を与え,その結果,このような不利益を回避するために,制限超過部分を支払うことを債務者に事実上強制することになるものというべきである。」とある通り、そこでは債務者の側の受け取り方が問題にされている。
  5. 確かに、乙1中綴り番号26の契約書を見ると、契約書裏面第7条(期限の利益の喪失)(1)項の括弧書き内に「ただし、本条に言う利息は、利息制限法第1条第1項に規定する利率を超えない範囲内においてのみ効力を有します」との文言がある(被告の引用は正確ではない)。しかし同文言は裏面のポイントの小さい活字で書かれている。契約書上の表面には、これより大きなポイント活字で「契約利率 実質年利28.000%」とある。しかも、元金部分として、最終残高の2.0ないし3.0%を最低限支払うようとあり、弁済金は「印紙代→遅延損害金→利息→元金」の順に充当されるとあるのであるから、法定利息の範囲を超えた利息を払ったとしても、その部分が元金に充当されず、必要元金支払額を下回ることとなる可能性がある。しかも、顧客が署名する欄は、前記但書の記載がある裏面にはなく、この表面にある。
  6. しかも、原告は平成年月日から、この但書の記載のない契約書に従って取引を行っていた。
  7. 以上の点を鑑みるに、原告が、従前の契約とおり、法定金利を支払っただけでは、期限の利益を喪失すると「誤解」するのは当然であり、しかも新しく但書を加えた契約書においても、署名をする表面からは、逆に「法定利息だけ払ったのでは、必要な元金額の支払を行えず、遅延損害金をとられる」との「誤解」を与える記載となっている。
  8. したがって、被告が原告に「誤解」を与え、「不利益を回避するために,制限超過部分を支払うことを債務者に事実上強制」している事実は変わらない。