直接面談義務化

朝日の誤報

 日弁連は、直接面談義務をうたう職務規定案を、2月9日の弁護士会総会に議案提出するが、1月12日に、記者会見でその内容をマスコミに発表した。これを受けて、1月13日の朝日新聞東京版朝刊1面に「債務整理トラブル増加 面談 弁護士に義務化 日弁連」との記事。同記事には「遠方に住んでいる場合などでも、電話や書面で内容を把握しながら、可能になれば速やかに面談することを求めている。」とある。しかし、これは誤り。実際には、債務者が遠方に住んでいる場合には、面談しないまま事件を終了しても良いとなっている。

実際の規定

 すなわち「債務整理事件処理の規律を定める規定案」の第3条1項本文では「弁護士は、債務整理事件を受任するに当たっては、予め、当該事件を受任刷る予定の弁護士(略)が、当該債務者と自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取しなければならない。ただし面談することに困難な特段の事情があるときは、当該事情がやんだ後速やかに、自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取することで足りる。(以下略)」とある。
 日弁連作成の「規定案解説」によると、「特段の事情」の例として「債務者が遠方に所在している場合」があり、「東京の弁護士が地方に居住する債務者から債務整理事件を受任する場合にも「特段の事情」が認められることがありうるとされる。これを禁止することは、依頼者の弁護士へのアクセスを不当に制限し、弁護士のアクセスを不当に制限し、弁護士選択の利益を損なうことになるからである。」となっている。
 「当該事情がやんだ後速やかに自ら面談」する必要があるのは、朝日の記事にもある通りだが、「規定案解説」によると、「債務者が遠方に所在している場合などは、特段の事情が最後まで解消しないまま事件処理が終わることとなり、その場合は結果とし面談をする必要はない。」とされている。