日本振興銀行業務停止命令

業務停止命令

 金融庁は5月27日、日本振興銀行に対して、一部業務停止命令を出した。停止期間は6月7日から9月30日まで。停止業務は以下の通り。

  1. 1億円強の大口融資と債権買取業務
  2. 新商品の販売・勧誘を含む新規業務
  3. 融資・預金に関する勧誘
処分理由

 金融庁は重大な法令違反として7点をあげている。

  1. 当行の特定の役職員らは、検査資料として検査官に業務メールを提出するに当たって、事前にメール保管先サーバーに接続し、同サーバー内に保管されていた電子メール群から、特定の電子メールを意図的に削除したものと認められた。当該削除メールからは、貸金業者からの債権買取に関する出資法違反の強い疑い等の重要な検査指摘につながる事実や親密先企業の管理実態等が確認されるなど、メール削除は当行の業務の実態把握の深度に大きな影響を与えており、当行の特定の役職員らの当該メール削除行為は、銀行法第63条第3号及び第64条第1項第2号の検査忌避等に該当する法令違反行為であると認められること。
  2. 特定企業への融資の実行に関して、取締役の過半数を自らの推薦する者とすることを条件とした上で、当該条件の不履行を理由として追加担保の差入れを要求しており、銀行法第13条の3第4号及び銀行法施行規則第14条の11の3第3号(優越的地位の濫用)に違反する行為があったこと。その他、同条に違反するおそれのある行為があったこと。
  3. 貸金業者から債権を買い取るにあたり、事前に、一定期間経過後、当該債権を一括再譲渡する旨の合意を結び、これに基づき当該債権を貸金業者に再譲渡したが、当該取引は経済的には信用供与の実態を有することから、受領した買取手数料が実質金利とみなされ、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条第2項に違反する強い疑いがあると認められること。
  4. 投資勧誘に際して、顧客に事実と異なる内容を告げており、銀行法第13条の3第1号(銀行の業務に係る禁止行為)に違反するおそれのある行為が複数あったこと。また、債務者からの定期預金の解約申出に対して不適切な説明により応じていない事案や、実行した融資からの定期預金預入(即時両建預金)が疑われる行為が複数あったこと。
  5. 貸金業者から譲り受けた債権については、貸金業法が準用されるが、交付した受取証書の記載不備や督促行為を行った事実を交渉記録に記載していないなど、貸金業法第18、19、21、22条に違反する行為があったこと。
  6. 業務委託先の一部社員が、当行の融資に係る勧誘・説明といった営業行為を行っており、当該委託先が無許可での銀行代理業にあたるおそれがあるが、当該営業行為が銀行代理業に該当するかを含め、当行ではリーガル・チェックを行っていないこと。
  7. 当行が保有する顧客情報について、顧客からの同意を得ずに第三者提供を行っており、個人情報の保護に関する法律第23条第1項に違反するおそれのある行為があったこと。
コンプライアンスについても厳しい私的

 金融庁コンプライアンスの点でも次のように指摘している。 
 法令違反やそのおそれのある事案について、当行では、法令等遵守担当部門である経営管理室及び内部監査部門である経営監査室において、行内担当部署と親密先企業との関係や営業推進を重視するあまり、法令等遵守や顧客保護等管理の観点から問題がないか適切に検証されておらず、態勢上の重大な不備が認められる。
 大口融資先に対する融資に関しては、独立した審査部門による審査がなされておらず牽制機能が発揮されていない等、管理態勢上の重大な不備が認められる。
 ここでいう大口融資先、親密先企業とは、具体的にはどこか。ひょっとして、、、か。
 大口融資先の点検も今回の金融庁の命令事項に入っており、今後の進展が注目される。