SF破産申立の意味するもの

本丸はネオラインか

 09年3月、三和ファイナンス対策弁護団による、SF(旧三和ファイナンス)に対する2回目の破産申立が行われた。この申立は、SFは搦め手に過ぎず、本丸はネオライン・キャピタルとなる可能性がある。

ネオライン・キャピタルの経営方針

 ネオラインの基本経営方針は、残あり債権については一括請求、それに準ずるような短期間による返還請求をし、過払金債権については、減額するというものだ。
 例えば、ある貸金業者のB/Sに、過払い金債務が100億円、貸金債権が100億円あるとして、そのままだと、純資産ゼロだ。しかし過払金債務を半額の50億円にし、貸金債権を70億円でも回収すれば、純資産は20億円となる。ネオラインはまさにこれを実行している。ネオライン風錬金術だ。

ネオラインが子会社化したタンポートは過払い金の減額を要求

 プロミスが完全子会社のタンポートをネオラインに売却。それまでタンポートは任意和解でも10割を返還していた。確かにタンポートは「うちは廃業もしているし、7割で」と交渉当初は主張するのだが、タンポートはB/S上真っ黒黒の黒字会社。結局満額を支払っていた。
 現金預金が46.39億円、営業貸付金が77.94億円、短期貸付金が110億円(これはプロミスに対する貸付)、土地が5.36億円で、これだけで合計239.69億円。
 他方、短期借入金は0.2億円、未払い金3.14億円、長期借入金0.03億円、退職給付引当金3.13億円、その他負債らしい負債は1.5億円くらいしかない。その合計額はたったの7.8億円。
 営業貸付金77.93億円に対し、貸倒引当金は39.84億円。利息損失引当金は95億円、貸付金に対する比率はなんと121.9%。
 しかしタンポートがネオラインの子会社になったとたん、「うちもこういう状況なので大幅な減額を」などと言い出した。

ステーションF、アエル

 ステーションファイナンスもそうだ。親会社が阪急電鉄からネオライン系のイッコー(イッコーの株式の51.02%を保有しているのが、ネオラインキャピタル代表取締役藤沢信義。代表取締役は千葉信育氏に変わったが、ス社も代表取締役が千葉信育氏に代わっている。)に変わったとたん、「大幅な減額を」となった。
 そして、クレディアの事業承継会社フロックスもネオラインの100%子会社で、同社の社長も千葉氏だ。
 ここまでくれば、ネオラインの野望は明らかだろう。
 ちなみに、インター、オリカキャピタルは、TOBを発動。創業株主に資本集中している。おそらく全株取得条項株式を発行する等して、少数株主を排除。次は身売り先探しになるが、有望な譲渡先はネオラインか、NCだろう。

ネオラインとSFの関係

 ネオラインにとって一番の頭痛の種がSFではないか。SFは旧三和時代、本社屋についていた東日本銀行の極度額45億円(だったかな)の根抵当権を解除。その後新宿の一等地が無担保となった。
 東日本銀行債務を完済した資金の出し手はどこか。ネオラインだろうか。もし、仮に、である。SFがネオラインからの融資を受けていて、過払金については大幅減額を迫り、ネオラインにはせっせと返済を続け、しかも債務超過だとしたら、SFが破産すれば否認権を行使され、ネオラインの金蔵が脅威にさらされる。

ネオラインと日本振興銀行との関係

 ネオラインはさらに有望な金づるを見つけた可能性がある。日本振興銀行だ。今レナウン現役員が有力株主から退陣を迫られている。有力株主が押している新役員の中にはいっているのが木村剛と藤沢義信だ。木村剛さんは日本振興銀行の代表者。

スイッチが切り替わった

 1月ころのある法廷での見聞だ。過払金請求訴訟で、原告席に代理人の弁護士が、被告席にSFの支配人が座っている。裁判官が原告代理人に「期日外で和解を進めるという話だったと思うんですが」というと、原告代理人いわく「えぇ、6割か7割で和解案を頂けるという話だったんですが、まだ和解案が来ないんです。」。裁判官が、SFの支配人に和解案はいつ出せるか聞いたところ、支配人いわく「その割合ではお払いできません。スイッチが切り替わりましたから」とのこと。現在はスイッチが切り替わっているので、SFからはロクな和解案が出てこない。(10.3.23追加)