SFCG破綻がもたらす日本振興銀行への影響

日本振興銀行の業務停止関連は次のブログを見てください

http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20100527/1274926650
(2010.5.26追加)

日本振興銀行の買い取りビジネス

 日本振興銀行は一昨年の07年くらいから、事業者向けローン、消費者ローンの貸付債権を、ノンバンク、サラ金から買い取っている。そうして同行は、その債権を金利を引き下げた新たな貸し出しに置き換える。ノンバンク、サラ金は自ら保証人となるか、別個信用ある保証人を立てるかしなければならない。また過払い金請求があった場合には買い戻したりしなければならないなどの条件が付されている。
 要は、消費者金融事業者金融が貸付債権を現金化するファクタリング的な手法だ。

SFCGも日本振興銀行に貸付債権譲渡

 日本振興銀行は、SFCG、ロプロ、NISグループなど事業者金融のほか、SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)といった消費者金融からも債権を買い取っている。SFCGは一部自社が保証人となっており、SFコーポレーションはゴールデン商事(かざか系か)が保証人になっている。
 日本振興銀行は、開業4年目で経常利益を黒字にするという経営方針があったが。このファクタリング的な事業を始めなければ、経常黒字が実現できなかったとする関係者もいるという(ダイヤモンドオンライン2008年7月15日 15時15分http://www.excite.co.jp/News/economy/20080715/Diamond_20080715003.html)。

SFCG破綻の日本振興銀行への影響

 しかし、前記ダイヤモンドオンラインは、このビジネスの危険性を次のように指摘する。
 「すべての債権を資産査定しているわけではなく、今後、デフォルト率は高まる」「保証を付けているノンバンクに万が一のことがあれば、このビジネスは吹っ飛ぶ」「振興銀行側は、「短期的なビジネスで、事業の柱とはしない」としているが、貸出残高1000億円程度の同行にとって買い取った債権の規模はいかにも大きく、リスクもまた大きいことは間違いない。」
 さらには、SFCGの債権の二重譲渡問題が大きい。当事務所の顧客が、SFCGからの借入金について日本振興銀行へ債権譲渡された旨の通知を受けた。通知の中に、債権譲渡登記がされている旨の記載があったため、その証明を求めたところ、「登記所の手違いでナントカカントカ」と言って提示してもらえない。自ら債権譲渡登記事項概要証明書を取ったところ、債権譲渡の登記は記載されていなかったのである。(09.5.4加筆)

日本振興銀行の設立の理念だった「金融維新」とは

 この日本振興銀行というのは、竹中平蔵の友人木村剛が中心になって金集めをし立ち上げた銀行である。彼はその設立経緯を「金融維新」に縷々書いている。要は「中小企業金融は、資産を担保に低利で貸す銀行金融と、保証人を立てさせ高利で貸す事業者金融しかない。」「事業者金融は、回収ありきで貸し付けをし、回収可能性だけを見て融資を決める」との現状認識の下、「中小企業は、ローリスク融資とハイリスク融資のどちらかしか受けられず、ミドルリスク融資の存在が必要だ。」「しかしミドルリスクで貸付しようとすると、貸付源資を低コストで調達しなければならない。銀行であれば、高めの利息で預金を集めても、借入利息に比べれば、全然低コストで済む。」というのが、木村剛の発想である。
 しかし、その後の経営を見る限り、その理念とは程遠いというのが、一般の見方ではないか。日本振興銀行の従業員は消費者金融出身者が多く、一回でも遅れるとすぐ売掛先に債権譲渡通知が行くといい、回収はSFCGより厳しい。木村剛は、回収を前提にした金融モデルといい、従来の事業者金融を批判していたのだが、結局事業者金融と同じ道を歩んでいるのではないか。

日本振興銀行ネオラインキャピタル

 日本振興銀行代表取締役木村剛と、ネオラインキャピタルの藤沢信義が仲がいいみたいだ。
 レナウンの経営権争いに、木村と藤沢が絡んでいる。レナウン筆頭株主は、株式の約25%を保有するSPICA2号投資事業組合だが、SPICAは、ネオラインキャピタルが組成した投資ファンド。ネオラインは08年9月、投資会社のカレイド・ホールディングスからレナウン株19%を譲り受け筆頭株主になった。
 そしてSPICAは、レナウンに、藤澤信義のほかに、木村剛と佐谷聡太ネオラインキャピタル事業開発担当を取締役に就任させるよう迫っている。(09.5.4加筆)